椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症と診断された、筋骨隆隆の中年男性が訪れました。診断結果を受け、精神的に落ち込んでいるご様子でした。
十代の頃から鍛え始め、ジムでバーベルを上げる他、重い荷を背負いながら山を駆け登るという、自己流で築き上げた筋肉がご自慢です。
しかし、トレーニングしていないと筋力が落ちてしまうという「不安」に駆られ、痛みがあっても必ず、頭が真っ白になるまでやり続けるという、激しい「勢い」を持った方でした。
胸板と二の腕、太腿が極端に発達し、逆三角形のプロレスラーのような体格ですが、全体の筋肉の大きさに比べて「お尻」が小さく、バランスから見ても貧弱に映りました。指摘すると、下半身を中心に鍛えていると仰います。
病歴をお聞きすると二年前「肺炎」で二週間入院されたとのことでした。
「お尻」はその人の生命力や、呼吸器の強弱を現しています。
呼吸器の弱さは想像できましたが、あわせて重心の位置が筋肉で盛り上がった上部にあり、強そうに見えるだけで脆さがあり、もっと重心が下がれば、自然と臀部も発達し「丹田」の力が使えるようになるだろうと思えました。
トレーニングが生きがいと仰るので、大きな「お尻」を育てるために「四股踏み」をお薦めしました。安定した足腰を作るためには、相撲の稽古が一番であると確信しています。実際にやってみると全く四股が踏めないご自分に驚きを隠せません。外見ばかりに気を取られて、中心の軸を支える筋が未熟なのです。
近い将来、柔軟な腰と大きな尻が出来上がると、腹に重心が下がり、取り付かれていた「不安」も湧き上がって来ない心身が育ってきます。強迫観念から離れることができます。
千代の富士のような天下一の「四股」を目指し、弾力のある足腰と股関節を育ててくださいね!