生き生きと『素』の自分

孔子曰く、七十にして

 

  「こころの欲するところに従いて、矩を踰えず」

 

意味:自分の思うことをそのまま行動に移しても、道に外れたり、法や道徳   に反する事はない

 

 人生の折り返し地点を迎えて、職場で働く若い部下や後輩に対し、自分の思う本音を伝えられずに、深くお悩みの方が見えました。

言葉よりも、ご自分の常識的な行動と「うしろ姿」で後輩を導き、教育していこうとする、真面目で謙虚な方です。

 

 こんな事を言ったら「男らしくない」「年甲斐もない」「器の小さい男」と見られるだろうか「大人気ない行為ではないか…」などと、頭で常識の概念という物差しが働きすぎ、他人の目が気になって仕方ありません。

 

 自分の感情を我慢し、忍耐し過ぎると、からだの中の不満や不安が蓄積し、考え方も歪んだ方向に陥りがちになっていきます。ご本人が気付かぬ無意識のところで、ありもしない「妄想」が勢いよく動き出します。

 

 今の時代、年齢に関係なく「うしろ姿」を示しても、感じる能力や理解する能力が育っていない人々を、頻繁に見かけるようになりました。

 

「思うことを、思うように行動されれば、いずれ相手が理解する時期が訪れます……それよりも今の素のご自分を、そのままに表現し、楽々と生きることが、何よりも心地よい筈です。心地よさを日常の中で実践して下さい。」

 

叱る時は存分に叱り、表現すべきは真っ直ぐに表現する……。

 

 いつの間にか腰痛と頭痛が和らぎ、ひまわりの様な笑顔で帰って行かれました。

 

       ネズミから農場を守る逞しい「素のままの猫」