この世のすべての動植物は、柔らかさを保ちながら成長し、生命を育み、徐々に硬く変化していきながら、その一生を終えます。
硬すぎる身体は、肉体的にも精神的にも、健康な状態ではありませんが、反対に、柔らかければ良いかというと、そうともいえません。
患者さんと対面する中で、柔らかすぎる身体に出会うことがあります。
柔らかすぎるからだは、体液の循環が悪く、心身に引き締まった感じがありません。
文明の発達に伴い、自動車・電車などに頼ることで、足腰を使うことも減りました。掃除や洗濯など日常生活においても、「スイッチひとつ」で何でもできる時代、私たちのからだを取り巻く環境は、昔と比べ激変しました。
昔の雑巾掛けは、足腰と全身を鍛え整える、理想的な運動だったと私は考えておりますが、日常生活で雑巾掛けする場面は、ほとんど見かけなくなりました。
便利さに依存せず、からだを惜しみなく使うことは、ハリのある筋力を保つ秘訣。人間の本来の能力をフルに引き出していくものです。
からだとは実に不思議なもので、使えば使うほど、さらに動けるようになり「動きたくなる」積極性を促してくれるのです。