検査をしても原因が分からない痛みについて
総合病院や整形外科などで、画像診断や精密検査を受けても異常が見つからず、困惑した経験はありませんか?
ここでは、私自身が体験した「痛み」を紹介します。
身体に不調を感じ、総合的検査を受けたものの、骨格や筋肉・血液や内臓にも異常が見つからず、痛みの原因は不明とされ「現代医学への限界」を強く感じた経験でした。
「痛み」の引き金は奥歯治療からでした。治療後、前よりも噛み合わせが悪くなったと感じ、再度治療しますが回復しません。思い切って別の歯医者を受診し治療を受けますが、噛み合わせが悪いと指摘され、特注のマウスピースを装着して、毎晩就寝するように指示されます。なかなか熟睡できず、辛い矯正が続きますが、症状が改善しません。
歯医者に通う半年ほど前から、身体の疲労が抜けず、長風呂に入ってストレッチをしたり、汗を掻くような運動に励んだりして、疲れを取ろうとしていました。接骨院やマッサージにも通い、筋肉をほぐしてもらおうとしましたが「私には無理です…」などと断られる程、当時の私の筋肉が張っていたようです。
日常的な腰痛と首のコリはありましたが、ひどい頭痛に悩む様になり、どうして良いのか途方に暮れていました。そのうちに背中全体と股関節が痛み出し、視力さえ落ちてきた状態になって、総合病院に駆け込みました。
総合検査の結果「頚椎から腰椎までの骨、眼球や血液、内臓などに異常はありません…」と告げられました。「どこから痛みや体の不調がくるのでしょうか?」と医師に聞いても原因不明と診断され、後のケアーも無いまま病院を出されました。
「不調や痛み」を訴えているのに検査では異常が無い。現代医学へ対しての「限界」を抱くことになりましたが、では全身の体調不良はどこから来るのかと、自分を見直すことに繋がります。
この時、病気と身体の関係に深い関心を持ち、まず自身の回復に挑むことになります。
現代医学は日夜進歩を続けていますが、より細分化が進み、胃のドクターは「胃」を診ることに専念し、心臓のドクターは「心臓」を診ることだけに専念しています。その患者の裏にある生活全体を見ていません。
家族の問題を抱えているのか、仕事の問題を抱えているのか、あるいは借金を抱えているのかなど、不調を訴えている患者さんの「背負っている日常生活や、患者さんの感情や感受性」などに踏み込んでいく時間がありません。
「こころとからだは一つ」です。
人間が生活の中で抱く諸問題に、必ずついて回る情動によって、身体は大きく影響を受け、健康にも病気にもなります。心が平穏で安定していれば、自律神経は乱れず、不快な痛みや体調の不調は出現しないものです。
当時の私は昼夜働き詰めで、職場の労働環境に対する不満や不信感、人間関係への怒りや煩わしさ、家庭の問題を抱えたまま、悶々と過ごしていました。自分の近い将来の進路が見えないまま「爆発しそうな感情」を抑えつつ、体力任せにその生活を改善なく続けることをしていました。
体調不良はこの心身の状況から陥るものであると自覚します。
この経験を踏まえ、臨床家になった現在、不調を訴える患者さんの置かれた環境や、直面している悩みなどに一歩踏み込み、不調の根本的な原因を掴んでいきます。
患者さんの個性や感受性、身体の資質を把握しながら、総合して「からだとこころ」を整えることに取り組んでいます。
病院などの治療や投薬に不安を感じた方、治療を受けても改善しない方に、より良い方向に心身を導けることを願ってやみません。